磁器素地の中でも特に、白の中にわずかに乳白色を帯びた柔らかな色味を持つものを指します。釉薬や原料の微妙な調合によって生まれるその白は、透き通るような青白磁とは異なり、 どこか温かみのある、ほんのり黄みがかった“にごり”を感じさせる白が特徴です。

濁し手は、柿右衛門様式(かきえもんようしき)で特に知られており、白い濁し手を背景に赤や青、黄などの文様を描く「濁し手赤絵様式」は、日本磁器を代表する美のひとつとされています。その製作には高い技術と繊細な調整が求められ、熟練の職人でなければ再現が難しいとされています。