九谷焼(くたにやき)は、主に金沢・小松・加賀を中心とした石川県の南部で焼かれる陶磁器の総称です。
有田焼同様、ほとんど磁器でできています。九谷焼の最大の特徴は、なんといってもその絵付け(上絵付け)にあります。白磁の上に「呉須(ごす)」と呼ばれる藍青色で線描きを施し、その上から「五彩(ごさい)」と呼ばれる赤・黄・緑・紫・紺青の和絵具を厚く盛り上げるように塗るの(ガラス絵具/盛り絵の具)が基本です。透け感のある絵の具の下から呉須の線がわずかに見えることで、深みのある独特の立体感が生まれます。
有田焼では洋絵具が多く用いられるのに対し、九谷焼の上絵は主に和絵具で描かれます。そのため発色はやや柔らかく、深みのある艶やかさと華やかさを併せ持ち、九谷焼ならではの豊かな色彩の美を感じさせます。
有田焼と九谷焼はしばしば混同されますが、この特徴を知っていれば、器を前にしたとき、きっと「これは九谷だ」と感じ取れるはずです。
九谷焼の絵柄は、山水・花鳥など絵画的で力強い構図が多く、吉田屋窯・宮本屋窯・小野窯など、歴史ある窯ごとに異なる作風が継承されています。その意匠には「余白が少なく、画面いっぱいに描かれる豪華さ」と「色彩の重厚感」が共存しています。
九谷焼は、まさに日本を代表する色絵磁器(いろえじき)。伝統技法を守りながらも現代的なデザインに発展を続け、国内外で高く評価されています。




