カオリン(かおりん)とは、「カオリナイト(Kaolinite)」と呼ばれる鉱物を主成分とする白い粘土鉱物で、磁器の美しい白さを生み出すために欠かせない原料です。その名前は、中国の景徳鎮(けいとくちん)周辺にある地名「高嶺(Kaoling)」に由来しており、古くから焼き物の歴史を支えてきました。

カオリンは、高温で焼いても変形しにくいため、磁器や耐火レンガなどの原料として重宝されています。鉄分などの不純物が極めて少ないため、焼き上がりが非常に白く、美しいのが特徴です。そのため、白磁やボーンチャイナのような白い陶磁器には欠かせません。

日本の代表的な磁器である有田焼の原料となる「陶石」も、このカオリンが主要な成分です。陶石は天然の複合鉱物であり、天草陶石もカオリンの他、石英(せきえい)や長石(ちょうせき)の仲間であるセリサイトなどから構成されています。

その優れた特性から陶磁器以外にも、紙に光沢を与えるコーティング材や、化粧品のクレイパック、医薬品、ゴム製品など、私たちの身近な製品にも広く使われています。

カオリンはケイ素(Si)、アルミニウム(Al)、酸素(O)、そして水酸基(OH)から成り立ち、化学式はAl₂Si₂O₅(OH)₄です。