櫛目高台(くしめこうだい)とは、鍋島様式の焼き物のみに見られる独特な装飾技法です。器の底にある高台(器を支える部分)に、櫛で引いたような等間隔の細い線を何本も描くのが特徴です。
この技法は、単なる装飾ではありません。鍋島は、将軍家や藩主への献上品として、一切の妥協を許さずに製作されました。そのため、器の表面だけでなく、通常は見えない裏側の高台にまで、この精緻な模様を施すことで、完璧な美しさを追求する職人たちの高い技術と誇りを示しています。
櫛目高台は、鍋島の「見えない部分にも美を宿す」という、究極の美意識を象徴する特別な印なのです。