物原(ものはら)とは、窯から出た失敗作や、焼成中に壊れてしまった器、窯道具の破片などを捨てた場所のことです。

物原は単なるゴミ捨て場ではなく、その窯元の歴史や技術を知る上で非常に重要な場所です。時代ごとに異なる器の破片や窯道具が見つかるため、当時の生産量や技術レベル、どのような作品が作られていたかを知る手がかりとなります。

特に、徹底した管理が行われた鍋島藩窯の物原は有名です。そこでは、失敗作が外部に漏れないよう細かく割られて捨てられていました。中には、高さ10メートルを超える山のように積み上がった物原も存在し、当時の生産規模の大きさを物語っています。

物原は、完璧な作品の陰に隠された、職人たちの試行錯誤や苦労の歴史を今に伝える貴重な遺跡と言えるでしょう。