江戸時代に大名や公家が趣味として、自らの邸宅や庭園内に築いた窯で作らせた焼き物のことです。

一般の窯元とは異なり、権力者個人の趣向や美意識が色濃く反映されているのが特徴です。名工を招いて指導を仰いだり、自ら作陶に励んだりするなど、趣味や教養の一環として行われました。

中でも、鍋島や高松など、各藩が御用窯を設けていたケースもありますが、御庭焼はより個人的、実験的な要素が強いものでした。

その作品は、一般に流通することはほとんどなく、身内への贈答品や個人的な鑑賞用として作られたため、量産品にはない独特の自由な作風や洗練されたデザインが魅力とされています。