窯元(かまもと)とは、焼き物を製造する場所や、そこで働く職人、事業主を指す言葉です。

しかし、陶器と磁器では、その役割に少し違いがあります。

土を主原料とする陶器の窯元は、工房としての個性が強いのが特徴です。職人が土を練るところから、成形、絵付け、焼成、そして販売まで、すべての工程を一貫して手掛けることが多く、作品にはその土地の土の個性や、職人それぞれの技法、デザインが色濃く反映されます。

一方、有田焼などに代表される磁器の窯元は、分業制を敷いているのが一般的です。主に焼き物に絵付けを施し、施釉をし、焼成する事業者を指します。窯元がデザインした形状を量産するためには「型屋」に石膏型製作を依頼し、その石膏型で成形された生地を専門の「生地屋」から仕入れ、完成した製品の販売は「問屋」が担うといったように、それぞれの工程を専門の業者が分担しています。

窯元という言葉は、その場所だけでなく、そこで働く人々、ひいてはその焼き物全体のブランドや伝統を表す言葉としても使われます。